昭和37年12月21日 参議院 予算委員会

[087]
公明会(会派) 鈴木一弘
今度は総理大臣に伺いたいのですが、私どもの考え方では、李ラインというものを先に片づけるべきだ、しかる後に請求権そのほかの問題を解決すべきだ、何といいましても、今までのやり方を見ておりましても、前の李承晩の政権のときには、絶えず人質をとってはおどかして、われわれに交渉を迫る、あるいは会談を非常に困難な難所に追い込めておる、それでは、一体朴政権になってどうかといえば、やはり同じように、先日は、大野さんが行かれたときには、33人の釈放ということが12日にされておりますけれども、また19日には、韓国に下関の漁船が拿捕されるような状態、言いかえれば、圧力交渉を受けているような感じを私たちは受ける。のど元にあいくちを突きつけられて、そうして早く請求権を解決しろというような、まるで、何というのですか、ふんなぐっておいてから物を取ろうというような、二重三重にこちらのほうが圧力を受けているような感じを、これは国民の全般としては受けざるを得ないということです。

そこで、そのほかにも、国際法規や慣例の上から考えても、李ラインというものがそもそもはなはだおもしろくないということはわかっております。そういう国民感情の上から考えてみましても、韓国とのこれは請求権の解決あるいは国交の正常化の問題、けっこうでありますけれども、それ以前にまず、一括解決の場合であろうとも、李ラインを先にすべきじゃないか、これは当然の声であろうと思います。その点について、強く強く、政府のほうとしては国民の声を反映して押すべきである、このように思うわけでありますが、総理のそれについての所見というものを伺いたいのです。

[088]
内閣総理大臣 池田勇人
たびたび申し上げておりますごとく、請求権問題も法的地位の問題も漁業権の問題も、全部一体としてきめるべきものでございます。したがいまして、いろいろな問題で、この三つなり四つなりが進み方はいろいろ違いますけれども、これは、その国その国の要求によりまして進み方の程度は違いますが、全体としては一体としてきめることになるのでございます。漁業権、李ライン問題がきまらずに請求権問題を確定するということはいたしません。