昭和38年01月25日 参議院 本会議

[018]
公明会(会派) 辻武寿
現在政府は、第六次日韓会談を進めておりますが、歴代の内閣は、日韓交渉の内容、特に請求権については、「知らしむべからず、由らしむべし」の秘密外交の方針をとってきているのであります。韓国側の日本に対する請求金額の交渉内容については、総理も大平外相も確答を避けております。

日韓交渉において、日本側にとり、まっ先に解決すべきことは、李ライン海域における安全操業の確保であります。昭和27年1月、韓国側によって一方的に作られた、いわゆる李承晩ラインは、済州島付近で70~80海里、最大は200海里の幅を持ち、深度200メートルに及ぶ大陸だなと、さらに海上までも韓国の主権が及ぶという、前代未聞の主張であり、国際法の常識をも逸脱した全くの横車であります。このように身勝手な宣言をしながら、韓国側は終始一貫、季ラインにおける漁船の拿捕と漁夫抑留という手段で、日本の譲歩を求めてきたのであります。

今、最終的な交渉段階に来た現在でも、韓国側は、請求権問題で日本が譲歩し、誠意を示すならば、李ライン問題では伸縮性のある態度をとり得るとしているのであるが、日本にとって、李ラインの解決なくして日韓交渉の解決は断じてあり得ないのであります。総理並びに大平外相は、今までの日韓交渉における秘密外交をやめて、現在までの交渉経過を明らかにしていただきたいと思います。

日韓会談は、第一に、不当な李ライン撤廃を先決とすべきであり、それに基づいて、漁業交渉、請求権問題を処理すべきであるのに、政府は請求権問題で日時を費やし、韓国のペースに乗せられた感が強いのであるが、それで国民が納得する交渉ができると考えるのか。今後の交渉に対する態度を明確に示していただきたいと思います。また、対韓焦げつき債権4573万ドルの処理についても、どのようにお考えなのか。この際、一緒に明らかにしていただきたいと思います。